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味覚障害の原因は?抗がん剤?もしかしたら亜鉛不足かも・・・

押さえておきたい基本的知識

抗がん剤治療中の患者さんが、味覚異常や嗅覚異常を訴えることがよくあります。味覚異常や嗅覚異常が発現すると、食欲が減退し、摂取できるエネルギーが低くなり、体重が減少することになり、治療がうまくいかないことにつながります。

患者さん
患者さん

何を食べても甘く感じる。

「Up To Date」には、

さまざまな種類のがん化学療法を受けているがん患者を前向きに評価した2つ報告では、味覚の変化がそれぞれ70%と67%報告された。報告の1つでは、49%が化学療法中の嗅覚変化を報告した。(以下に代表的な薬剤を示す)

細胞毒性薬:アントラサイクリン、シクロホスファミド、メトトレキサート、プラチナ、タキサン、イリノテカン、オキサリプラチン、フルオロウラシル、ゲムシタビンなど

分子標的薬:イマチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、パゾパニブ、テムシロリムス、エベロリムス、クリゾチニブ、ラパチニブなど

発現の機序は、唾液中または歯肉裂孔液を介した薬物の分泌による直接的な味覚受容体刺激による。味覚のシグナル伝達経路を変更することにより味覚細胞の増殖に影響を与える可能性がある。味蕾への直接的な損傷が原因で、体内から薬物消失後も味の変化が持続することがある。

そもその味覚障害、嗅覚障害ってどれくらいの人が発症している?

正常な味覚および嗅覚機能の障害は、成人によくみられる。

40歳以上の米国成人の味覚と嗅覚機能の正式なテスト: 17%が味覚障害、14%が嗅覚障害、2%が両方の感覚の障害

これらの障害の自己申告の有病率は低く、自己申告は 約5%の味覚障害と約11%の嗅覚障害であった。嗅覚障害は、嗅覚障害がより容易に認識されるため、味覚障害よりも頻繁に報告される。

嗅覚障害の有病率は年齢とともに増加する。

米国の成人1200人以上のにおいの知覚を評価する研究:

 嗅覚機能障害の有病率 40〜49歳の4%

            50〜59歳の10%

            60〜69歳の13%

            70〜79歳の25%

            80歳以上の 39%   無嗅覚症は60歳以上の14〜22%

亜鉛不足が味覚障害の原因?

患者さんのご飯の摂取状況をまず確認しましょう。その上で血清亜鉛値を測定し、基準値以下であれば、酢酸亜鉛水和物(ノベルジン:商品名)やポラプレジンク(プロマック:商品名)などによる補充を検討しましょう。うまくいけば効果が期待できますが、効果が得られたかったときは中止しましょう。あと新型コロナウイルスによる可能性もありますので、これまでの治療状況や使用薬剤を考慮し対応しましょう。

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