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ペメトレキセド関連レジメンに対する薬学的介入 (その3)

薬学的介入例

ペメトレキセド投与後に発疹が発現する患者さんがいます。医薬品添付文書には非小細胞肺癌に対する国内第II相試験における皮疹の発現率は、73.8%との記載があります。海外第Ⅲ相臨床試験:アリムタ単独投与のドセタキセル単独投与に対する非劣性の検討では14.0%です。

石川寛ら(癌と化学療法 40(1)75-78,2013)が、ペメトレキセドの発疹予防に対するステロイドの有効性に関して検討されています。

報告によると、ペメトレキセドの投与日より後(day2以降)にデキサメタゾンを中央値として2mg(範囲:0.5~8mg)を3日間(範囲:2~4日)投与した群に分けて後ろ向きに皮疹やその他の副作用について評価されています。

結果は、追加予防投与した場合としない場合で、皮疹についてはすべてのグレードにおいて有意差はありせんでしたが、発現率は減少傾向にありました。また皮疹は1サイクル目に発現しやすく、他の有害事象として倦怠感、食欲不振、口内炎については追加予防投与した方が有意に発現頻度が低いと報告されております。

既報論文との比較で、前投薬にも全くデキサメタゾンを投与しなかった方向での発現頻度は73.8%と高頻度であったが、本研究および他の研究で、前投薬および追加予防投与により皮疹の発現率が低いと述べられていました。

ペメトレキセドは、催吐性リスク分類では軽度リスクであるため、前投薬としてデキサメタゾン6.6mgの投与が推奨されています。ですので基本的にはステロイドを併用しない場合はないかと思われます。

シスプラチンと併用の場合は、デキサメタゾン8mgをday1-4に投与するため、皮疹発現予防の効果が期待できます。

皮疹は、斑状丘疹状で体幹に発現。day4~5に発現しやすい。

治療薬:体幹ならステロイド外用剤 strongクラスがよいかと思われます。

掻痒感あり:抗ヒスタミン剤の内服(腎排泄型をさけたほうがよいか)

ペメトレキセドは、シスプラチンやカルボプラチン、ベバシズマブそして最近では免疫チェックポイント阻害薬との併用もされますので、皮疹が発現した場合、どの薬剤によるものか鑑別が難しくなってきています。

Lillyのホームページに、「アリムタ(ペメトレキセド)による発疹の予防としてステロイドの前投与は必要ですか?」のQ&Aの回答として、必須の併用薬ではありませんが、非小細胞肺癌を対象としたアリムタ単剤の国内第Ⅱ相試験で高頻度に発疹が見られたことから、副腎皮質ホルモン剤の併用投与を考慮してください。」と記載があります。

症状と発現状況をふまえ、次回の投与にはステロイドの予防投与の可否について主治医と検討していただければと思います。

発熱を伴う粘膜炎、皮疹が急激に悪化するようであればSJSやTENなどの可能性もありますので、すぐに皮膚科の診察を受けるように患者さんに指導し、気をつけましょう。

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