薬学的介入例

実際にやってみた!シリーズ

保湿剤を1ヵ月塗ってみました!効果と問題点を検証

EGFR阻害薬(抗EGFR抗体、チロシンキナーゼ阻害薬)やマルチキナーゼ阻害を使用している患者さんに保湿の意義と保湿剤の継続使用するよう指導されていると思いますが、実際に自ら保湿剤を継続して塗布した経験がある方は少ないのではないでしょうか。これまで「実際にやってみたシリーズ」として、「爪のスクエアカット」、「泡で洗顔、洗体」などの経験をお伝えしましたが、今回も「実際に保湿剤を1ヵ月継続して塗布してみました」ので、ご紹介します。
押さえておきたい基本的知識

保湿剤とステロイド外用剤 どっちから塗るの?

外用薬が複数処方された場合、まずは医師から指示された順番どおり使用して下さい。特に説明がなかった場合では、一般に塗る面積の広い方から先に塗ります。例えばステロイド外用剤と保湿剤の併用では、保湿剤から先に塗り、後からステロイド外用剤を症状のある部分だけに塗ります。先にステロイド外用剤を塗ってから、すぐに保湿剤を塗るとステロイド外用剤が不要な部分まで広がってしまい、副作用が起こるかもしれませんので、しっかり指導しましょう。
免疫チェックポイント阻害薬

抗がん剤投与によるB型肝炎ウイルスの再活性化

抗がん剤投与中にB型肝炎ウイルス(HBV)が再活性化した報告が散見されています。HBs抗原陽性のいわゆるキャリア/慢性肝炎の患者のみならず、HBs抗原陰性で、 HBc抗体またはHBs抗体陽性のいわゆる一過性感染してHBVは排除されたと考えられていた患者(既往感染例)においても、HBVの再活性化は生じています。 HBVが再活性化し肝障害を起こした症例は、抗がん剤治療を中止せざるを得なくなり、場合によっては重症肝炎や劇症肝炎を起こし、生命が脅かされることがあります。そこで抗がん剤投与前にB型肝炎ウイルスの再活性化リスクについて評価し、対応することが重要です。
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押さえておきたい基本的知識

抗がん剤投与前に確認・評価すべきこと

抗がん剤治療において、副作用の発現は薬の効果と共に患者さんが最も気にする事柄です。できることならば副作用のない治療を受けたいところですが、なんらかの副作用症状が発現することがほとんどです。過去のデータから発現が予想される副作用について事前に評価し、対応することで重症化が防げる場合があります。抗がん剤による副作用対策について書かれた書籍や私の経験から、以下の項目について事前に確認し、評価し、対策するとよいと思われることを挙げてみました。
押さえておきたい基本的知識

抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(2)

抗がん剤による末梢神経障害が発現したときの対応として、最も効果的(症状の軽減や消失がみられる)なのは、原因薬剤の減量や休薬と考えられます。しかし、症状の増悪を抑えたり、軽減するために、何らかの薬剤を投与してほしいと患者さんからの訴えを聞くことがあります。これらの薬剤を使用し、もし効果が得られれば、原因薬剤の減量や中止を回避することになり、治療効果が期待できると考えます。効果が得られないと評価されたら中止を検討しましょう。
押さえておきたい基本的知識

抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(1)

抗がん剤による副作用として末梢神経障害(CIPN)があり、大きく3つに分類されます。①感覚障害:手足の先がしびれる、ジンジンする、感覚がない、耳が聞こえにくい、②運動障害:手や足が動かしにくい、力が入らない、つまづきやすい、③自律神経障害:便秘、小便がでにくい など。これらの症状は副作用の中でも、すぐに命に関わることではありませんが、日常生活においては大きな影響があり、重要な副作用の一つと考えています。治療薬選択時に、患者さんの生活スタイル(仕事内容、生活環境など)を考慮し、患者さんの理解を得たうえで治療方針を決定することが望ましいと思います。
押さえておきたい基本的知識

ドセタキセルによる浮腫にフロセミドを使用するときの注意点

ドセタキセルを投与中の患者さんの中に、身体の浮腫(むくみ)を訴える方がおられます。浮腫に対して利尿薬を安易に使用してはいけない場合は、大動脈弁狭窄症とされています。大動脈弁狭窄症は大動脈への血流量が低下して体循環全体が血流不足となった病態です。ですのでフロセミドなどの利尿薬を病態にそぐわない量を使用すると、さらに水分を排出し血液の量を減らすことになり、左心室から送り出す血液量も減り、ショック状態となるリスクが高まるためとされています。医師へ処方提案する際は、併存疾患をしっかり確認するようにしましょう。
押さえておきたい基本的知識

トラスツズマブの薬学的介入ポイント

トラスツズマブはモノクローナル抗体のひとつで、ヒト化抗体(ヒト由来約90%+マウス由来約10%)に分類されます。モノクローナル抗体製剤による特徴的な副作用として、インフュージョンリアクションがあります。トラスツズマブはヒト化抗体のためそれほどインフュージョンリアクションを起こす患者さんに遭遇する機会は少ないかもしれませんが、初回および2回目までの発現頻度が高い傾向にあるため、特に注意が必要と考えられています。ですので投与開始から15分間はできるだけ目の届く範囲にいて症状の有無を確認し、そのモニタリング記録もカルテに残した方がよいと考えております。
実際にやってみた!シリーズ

「爪をスクエアカットにしましょう」を実際に自分でやってみました(1)

抗EGFR抗体やチロシンキナーゼ阻害薬を投与されている患者さんへの生活指導として、「爪を切る時は、スクエアカットにして下さい」と指導されていると思います。患者さんに指導しても、実際にやってみないとわからないこともあるかと思いまして、スクエアカットをやってみました。
押さえておきたい基本的知識

多量の腹水や胸水がある患者さんに禁忌の抗がん剤は?

抗がん剤のレジメンを検討する際に、患者さんに腹水や胸水がある場合は事前に投与の可否について十分に検討が必要です。 腹水は、腹膜転移を起こしやすいがん種である卵巣癌、胃癌、膵臓癌、子宮癌に起こりやすく、胸水は、肺癌、乳癌、リンパ腫、卵...
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