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マルチキナーゼ阻害薬による皮疹に対する介入

薬学的介入例

症例は過去の私の経験をもとにした仮想症例です。甲状腺乳頭癌 stageⅣ で、甲状腺全摘出術し、RAI内用療法するが効果が得られず、ネクサバール®(ソラフェニブ)適応となりました。PS0、骨髄機能正常で肝機能、腎機能値は問題なし。内服薬として甲状腺ホルモン製剤、乳酸Ca製剤、ビタミンD3製剤、DPP-4阻害剤、ARBをもともと服用しており、導入のための服薬指導を実施し、注意すべき副作用とされている手足症候群、肝機能障害、下痢、高血圧などをモニタリングすることとしました。

服用開始前の手足症候群の事前評価として、

手足を実際に確認します。皮膚の状態はどうか、乾燥していないか、足の裏はどうか、角質があるか、足の裏を刺激する履物をはいているかどうか確認しました。健康サンダルを履かれる方がよくいますが、刺激により手足症候群を誘発する恐れがあるため、足を圧迫しない履物にしてもらいました。足白癬の疑いと厚い角質が見られたため皮膚科への受診を主治医へ依頼し、服用開始に備えていただきました。

そして保湿剤の手足への予防的な塗布とともに、、ネクサバール®(ソラフェニブ)800mg/分2 朝 夕食後 から開始となりました。

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服用開始から13日目に腰背部、腹部上腕にやや痒みを伴う発赤が見られました。手足には症状はありませんでした。好中球減少grade3が見られたため、1段階減量を主治医へ提案し減量となりました。

服用開始から15日目に手足に皮疹の発現が見られました。主治医へ皮膚科への受診を依頼し、ステロイド外用剤の使用開始の可否について確認したところ、皮膚科よりstrongのステロイド外用剤が開始となり、使用方法について指導しました。

服用開始から16日目の朝に面談した際に手足に加えて上半身に皮疹が広範囲に発現が見られました。ソラフェニブによる多形紅斑の報告があるため、その可能性について主治医へ確認し、連日の皮膚科受診を依頼しました。幸い多形紅斑の可能性は否定的となりステロイドの内服と抗ヒスタミン薬の内服、ステロイド外用剤のvery strongへ変更となりました。週末にさしかかったため、月曜までこの処方を継続となった結果・・・。

今回の症例は服用開始からできるかぎり頻繁に患者さんのところに赴き、副作用の発現の有無と処方された薬剤の効果を確認しました。この症例より迅速に治療が必要か診断し、治療を開始、確実に実施すれば改善が得られたという貴重な経験となった入院患者さんの例でした。外来で開始した場合は実際に患者さんの状態を確認できません。電話でのサポートや治療日誌での変化の確認などからの早めの対応が必要かと思います。また皮膚障害が現れた時には、SJSやTENなどの可能性がないか、発熱を伴う粘膜疹がないかしっかりフォローし、増悪が見られたらすぐに皮膚科への受診を促すとよいと思います。

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