押さえておきたい基本的知識

抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(2)

抗がん剤による末梢神経障害が発現したときの対応として、最も効果的(症状の軽減や消失がみられる)なのは、原因薬剤の減量や休薬と考えられます。しかし、症状の増悪を抑えたり、軽減するために、何らかの薬剤を投与してほしいと患者さんからの訴えを聞くことがあります。これらの薬剤を使用し、もし効果が得られれば、原因薬剤の減量や中止を回避することになり、治療効果が期待できると考えます。効果が得られないと評価されたら中止を検討しましょう。
押さえておきたい基本的知識

抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)について(1)

抗がん剤による副作用として末梢神経障害(CIPN)があり、大きく3つに分類されます。①感覚障害:手足の先がしびれる、ジンジンする、感覚がない、耳が聞こえにくい、②運動障害:手や足が動かしにくい、力が入らない、つまづきやすい、③自律神経障害:便秘、小便がでにくい など。これらの症状は副作用の中でも、すぐに命に関わることではありませんが、日常生活においては大きな影響があり、重要な副作用の一つと考えています。治療薬選択時に、患者さんの生活スタイル(仕事内容、生活環境など)を考慮し、患者さんの理解を得たうえで治療方針を決定することが望ましいと思います。
押さえておきたい基本的知識

ドセタキセルによる浮腫にフロセミドを使用するときの注意点

ドセタキセルを投与中の患者さんの中に、身体の浮腫(むくみ)を訴える方がおられます。浮腫に対して利尿薬を安易に使用してはいけない場合は、大動脈弁狭窄症とされています。大動脈弁狭窄症は大動脈への血流量が低下して体循環全体が血流不足となった病態です。ですのでフロセミドなどの利尿薬を病態にそぐわない量を使用すると、さらに水分を排出し血液の量を減らすことになり、左心室から送り出す血液量も減り、ショック状態となるリスクが高まるためとされています。医師へ処方提案する際は、併存疾患をしっかり確認するようにしましょう。
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切除不能・進行再発の化学療法

切除不能・進行再発の大腸がんの化学療法 (2)

大腸癌の原発部位の違いにより予後や選択される薬剤が異なります。大腸の右側は盲腸、上行結腸、横行結腸、左側を下行結腸、S状結腸、直腸とされています。原発部位が右側の場合、がん細胞の遺伝子変異が多く、増殖スピードが早く、便の水分が多いため早期発見がしにくく、腸内細菌と炎症の関与のことから、左側と比較して予後が悪いとされています。右側の病変にはベバシズマブ、左側の病変にはセツキシマブ、パニツムマブが選択されることが多いです。
押さえておきたい基本的知識

抗がん剤の副作用 蛋白尿(+)への対応

抗がん剤のうち副作用に蛋白尿が発現する薬剤があります。蛋白尿の発現の程度により投与が中止となったり、重症化するとネフローゼ症候群となる可能性があるため、そのコントロールが重要です。蛋白尿の発現の機序を考えると、原因薬剤を中止することが最も効果があると考えられます。しかし治療効果を考えると血管新生阻害薬を継続することが多いです。対応としては、高血圧を合併している場合は、糸球体の輸出細動脈を拡張しすることで蛋白尿の減少が期待できるARBを投与したり、Ca拮抗薬でもN型チャネルの阻害作用をもつシルニジピンやベニジピンにも糸球体輸出細動脈の拡張作用も期待できると考えられます。これらにより蛋白尿の減少または維持を期待しています。
切除不能・進行再発の化学療法

レゴラフェニブの服薬指導ポイント

用法用量は、レゴラフェニブとして1日1回160mgを食後に3週間連日経口投与し、その後1週間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。作用機序として、腫瘍の血管新生、微小環境および腫瘍形成にかかわる複数のシグナル伝達の阻害作用による抗がん作用を示します。経口のマルチキナーゼ阻害薬に分類されます。投与開始からすぐAST、ALTやビリルビンの上昇が見られることがあります。添付文書には「重篤な肝機能障害があらわれることがあり、劇症肝炎、肝不全により死亡に至る例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。」と警告の記載がありますので、初めは1週間ごとに来院し、検査値異常の有無を確認しながら投与することになります。患者さんには倦怠感、食欲不振、黄疸などの症状に気がついたらすぐに病院へ連絡するよう指導しましょう。
実際にやってみた!シリーズ

爪のスクエアカットを実際にやってみました(3)

過去の記事で実際に手の爪をスクエアカットした感想をご紹介しました。今回は、足の爪です。手の爪に比べてなかなか伸びませんでしたので、ずいぶんと間が空いてしまいました。真ん中の写真のようにカットした後、両端がとがりましたのでヤスリをかけて丸くしてみました。やはりスクエアカットは難しかったです。手の爪と比べて足の爪は固いです。お風呂上がりにカットするとよいかと思います。ヤスリをかけるときはあまり強くすると皮膚を痛める可能性もありますので、丁寧に処理しましょう。
押さえておきたい基本的知識

カルボプラチンの投与量の算出はカルバート式で

がん薬物療法時の腎障害診療ガイドライン2016には、「腎機能に基づくカルボプラチン投与量設定すを行うよう強く推奨する」との記載があります。カルボプラチンは投与後にそのほとんどが腎臓から排泄されるため、GFR(糸球体濾過量)に基づいて体内薬物動態を予測できるとされています。
レジメン

B-mab+FOLFOXIRI療法

主要評価項目であるPFS中央値は、FOLFIRI+Bevacizumab群9.7ヵ月、FOLFOXIRI+Bevacizumab群12.1ヵ月であり、FOLFOXIRI+Bevacizumab群で有意な延長を認めています(p=0.003)。副次評価項目である奏効率もFOLFOXIRI+Bevacizumab群で有意に良好でした(p=0.006)。しかしOSではFOLFOXIRI+Bevacizumab群で良好であったものの有意差を認めなかった(p=0.054)。追跡期間中央値48.1ヵ月における解析の結果、OS中央値はFOLFIRI+Bevacizumab群25.8ヵ月、FOLFOXIRI+Bevacizumab群29.8ヵ月であり、FOLFOXIRI+Bevacizumab群で有意な延長が認められています。
レジメン

FOLFOXIRI 療法

主要評価項目である奏効率は、FOLFIRI群34%、FOLFOXIRI群60%であり、FOLFOXIRI群で有意に良好であった(p<0.0001)。また、副次評価項目であるPFS(p=0.0006)、OS(p=0.032)のいずれも有意な延長を認めました。 R0切除率は、FOLFIRI群6%、FOLFOXIRI群15%(p=0.033)、肝限局転移におけるR0切除率はそれぞれ12%、36%であり(p=0.017)、いずれもFOLFOXIRI群で有意に良好でした。
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