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抗がん剤によるアレルギー発現後の再投与は?

押さえておきたい基本的知識

アレルギー反応を発症させる頻度が比較的高い殺細胞性抗がん剤として、カルボプラチン、オキサリプラチンなどプラチナ系やドセタキセル、パクリタキセルなどタキサン系の薬剤が挙げられます。

カルボプラチンの添付文書の禁忌の項目に「本剤又は他の白金を含む薬剤に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者」と記載があるため、アレルギー反応の程度が重篤であった場合は、再投与はできないことになります。

CTCAE ver.4のアレルギー反応のGrade分類は

と分類されており、grade3以上であれば再投与は禁忌に該当すると考えられます。grade1または2の場合に、再投与ができる可能性があります。

卵巣がんの治療において、カルボプラチンはキードラッグです。投与回数を重ねることで過敏性反応(hypersensitivity reaction;HSR)を起こすことがあり、問題となることがあります。

卵巣がん治療ガイドライン2015年版の解説文に、「プラチナ製剤が原因のHSR としては,カルボプラチンによるものが代表的で,反復投与を行った場合に生じることが多い(6~21 回,平均8 回)」との記述があります。さらに「注意すべき点は,プラチナ製剤では単純な再投与でHSR が再発する可能性が高い と考えられることである。前投薬の強化により再投与可能な例もあるが,多くは数サイクル以内に再びHSR が発症してしまうため,非プラチナ製剤への変更,他のプラチナ製剤への変更 ,脱感作療法 などが行われる。」とし、前投薬の強化による再投与は推奨されていません。

ですので再投与するかどうかは、主治医および看護師など多職種でのカンファレンスを実施し、事前対策と投与中および投与後の観察を十分に実施することが必須と考えます。

前投薬を強化する場合、d-マレイン酸クロルフェニラミン注5mgおよびファモチジン20mgまたはラニチジン50mgの追加、さらにデキサメタゾンの増量かつ対象薬剤の投与速度の減速(2倍以上時間をかけるなど)を実施することが多いです。

カルボプラチンを例に挙げると、アレルギー症状の出現部位として、顔面、手掌、上肢、腹部などが多く、頚部、大腿部、耳、下腿、背部、腹部にも起こるとの報告がありますので、バイタルサイン(血圧、体温、脈拍)の変化を測定するとともに症状の発現を確認しましょう。

薬剤師
薬剤師

前投薬を強化しても重篤な過敏性反応を起こすことがあります。

患者さんには、再投与することに対して納得していただくことはもちろんですが、症状の変化に気がついたらすぐに知らせるよう指導しましょう。

効果が期待される薬剤を、できることなら投与できるようサポートしたいですね。

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