リツキシマブやセツキシマブなど、抗体医薬品による症状は、その他の抗がん剤に伴う過敏症やショック症状などとは区別されており、インフュージョンリアクション(注入に伴う反応)と呼ばれています。
多くは投与開始直後~24 時間以内に発症します。特に初回投与開始後 30 分~2 時間以内が多く、その症状は発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、皮膚掻痒感、発疹、咳嗽などの軽度のものから、アナフィラキシー様症状、気管支痙攣、重度の血圧低下、急性呼吸促進症候群など重篤化し、生命に危険を及ぼす場合もあります。それぞれの抗体医薬品に対してインフュージョンリアクションの予防として前投薬の投与法が確立されたものがあります。
インフュージョンリアクションは注入に伴う反応ですので、投与速度が定められている薬剤については、添付文書に記載されている推奨投与速度を厳守することで、症状の予防・早期発見につながります。投与開始直後や投与速度上昇後は何らかの反応が起こりやすいので、注意深くバイタルサイン
及び自他覚症状をモニターすることが必要です。
インフュージョンリアクション発現時の対応については、CTCAE ver.4.0 におけるGrade 分類毎に分けることができます。
(1) Grade 3 以上
速やかに薬剤の投与を中止し、症状に応じてアドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬などによる治療を行う。Grade 3 以上の重度のインフュージョンリアクションを発症した患者には再投与しない。
(2) Grade 2
投与を中断し、症状に応じてアドレナリン、副腎皮質ステロイド薬、抗ヒスタミン薬などによる治療を行う。症状軽快後は、患者の様子を慎重に観察し、投与再開の可否を検討する。再開する場合は、投与速度を減じて慎重に投与する。
(3) Grade 1
患者の様子を観察しながら、投与速度を減じて慎重に投与する。
抗体医薬品以外の抗がん剤によるアレルギーの時は、再投与はむずかしいことが多いですが、grade1~2であれば次回の投与が可能な場合がありますので、しっかり主治医と検討して対応することで、患者さんの治療の機会を損なわないようにしたいですね。
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