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抗がん剤投与後の倦怠感はステロイドの離脱症状?

薬学的介入例

抗がん剤治療中の悪心・嘔吐については、過去の記事の悪心嘔吐への対応(1)対応(2)を是非、ご参照下さい。抗がん剤投与後に患者さんが悪心・嘔吐や食欲不振と共に倦怠感を訴えておられたら、もしかしたらそれは前投薬の中のステロイドの影響かもしません。

制吐薬適正使用ガイドラインには、シスプラチンなど高度催吐性リスクの抗がん剤の前投薬としてのデキサメタゾンは、アプレピタント併用でday1に9.9mg、day2-4またはday5まで8mgを投与するとの記載があります。中等度崔吐制リスクについては、アプレピタントを併用しない場合はday1に4.95mg、day2-4まで4mg、アプレピタントを併用する場合はday1に9.9mg、day2-4まで8mg投与するとの記載があります。

またパクリタキセルは、主薬のパクリタキセルを輸液に均一に混ぜるため添加されているポリオキシエチレンヒマシ油によるアレルギー発生の予防として、デキサメタゾンを「パクリタキセルのA法の場合:通常,成人にはパクリタキセルとして,1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し,少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして,投与を繰り返す。」においては、20mg投与すると添付文書に記載があります。

血液がんのレジメンでもステロイドが比較的多く使用されます。ステロイドの作用によりがん細胞のアポトーシスを誘導することで抗がん作用を期待した使用方法で、制吐作用も期待されます。

これらのレジメンではかなりの量になるのではないでしょうか。患者さんが最も気になる抗がん剤投与日の食欲は、ガイドラインに従った予防のおかげで、むしろ良いという声を聞きます。しかし翌日以降に倦怠感と共に食欲不振を訴えることがあります。

ステロイドを投与された場合で、自分の体の生理的分泌量を上回るステロイドが投与されるた場合、その中止後に一過性な副腎皮質機能の抑制が起こることが予想されます。その症状としては、副腎機能不全による食欲不振、昏睡、倦怠感、吐き気、体重減少、頭痛、発熱などがよく見られるようですが、まれに関節痛、筋肉痛、腹痛、嘔吐なども見られるとのことです。これをステロイド離脱症候群といいます。

ステロイド離脱症候群は、短期間の投与では起こりにくいとされていますが、長期間治療薬として力価の高いステロイド薬を投与されていて、急に投薬が中止になったりした状況などに起こりやすいです。また抗がん剤の前投薬によって起こる場合も報告されております。

解決策として、ステロイドを漸減して中止する個人差がありますので明確な指標はありませんが、ステロイドを少しずつ減量しながら、3~4日で中止するというのを試してみるのもよいかと思います。アプレピタント併用時にデキサメタゾンの投与量を減量していない場合は、まずデキサメタゾンの減量もご考慮下さい。もちろん倦怠感の他の要因を考慮し、主治医と相談の上、対応をご検討下さい。

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