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がん患者さんのブログより思うこと(2)

押さえておきたい基本的知識

前回の記事でがん患者さんの治療に関する体験談や思いなどが閲覧できるサイトをご紹介しました。その中で、私たち薬剤師も知らなかっこと、実はこういうことに悩んでいるんだということを、私が気になった内容をお伝えしたいと思います。

胃がん患者さんの体験談より

40代女性で胃がんの摘出術を施行後に術後補助化学療法をしている。体力の低下と体重減少が見られる中子供たちは幼く容赦なく抱きついてくるため、しっかりと受け止めてあげたい。

薬剤師
薬剤師

胃の摘出後の体重減少はよく起こります。

栄養士さんとも連携していくとよいと思いますので、栄養状態の評価をしていきましょう。

胃癌の手術後の服薬指導ポイント(2)を参考にしていただければと思います。

30代男性で胃がんの摘出術を施行後に食後のダンピング症候群、嘔吐、突然下痢が水のように出てしまい出きるまで続くこともあります。この下痢についてはなかなか理解してもらえません。

薬剤師
薬剤師

胃の摘出後の早期ダンピング症候群で苦しまれたとのことです。

胃癌の手術後の服薬指導ポイント(1)を参考にしていただければと思います。

ひどい下痢の症状が起こっていることを周りに理解してもらえず悩まれたとのことです。この方は、「がんばったね。と声をかけてもらった時に、自分はがんばってたんだと感じることができ涙があふれでてしまいました。それ以来、スッキリしたのを覚えています。」とも書かれています。

「頑張れ、頑張れ」と周囲の方や自分も言ってしまいがちですが、これまでも、今も頑張っている人に「頑張れ」と言うことは、言われた方は「これ以上どう頑張ればいいんだ」と思うこともあり、つらいと言われたことがあります。「頑張ったね」と承認することは非常に大切ですね。

肺癌の患者さんの体験談より

60代男性で1回目と2回目の点滴から4~5日目に強い吐き気がある。2回目は原因不明の微熱が1ヶ月つづいて退院したら症状がなくなった。「初めてがん告知を受けてからインターネットで検索することが多くなった。私のステージが4なのでどうしても同じステージの方のブログを拝見することもよくあります。」

薬剤師
薬剤師

今は吐き気止めの薬(5-HT3受容体拮抗薬、ステロイド、NK-1受容体拮抗薬、オランザピンなど)をリスクに応じて使用可能です。抗がん剤以外の要因を考慮した上で、患者さんに我慢させることなく、できるだけ負担を感じないよう対応しましょう。

患者さんはインターネットで自分と同じ状況の方の経験を知りたいと思いようです。自分もきっとそうするでしょう。医療従事者として正確な情報を伝え、少しでも安心して治療を受けてもらえるよう取り組みたいと思っています。

慢性骨髄性白血病の患者さんの体験談より

20代女性で将来の妊娠に備えて、受精卵の凍結保存を選択された。受精卵を凍結保存するには1~2ヵ月治療を中断する必要があり、リスクが高いと反対をされたが実施することができた。

薬剤師
薬剤師

AYA世代の患者さんの問題点として、病気の治療が生殖機能に及ぼす影響や晩期合併症、通勤や通学に及ぼす影響、思春期という多感な時期に病気に罹患することによるさまざまな精神的ストレス、将来への不安などがあります。患者さんの数が少ないせいかあまり話題になることなかったのですが、最近になってようやくAYA世代のがん患者さん、サバイバーのことが知られるようになってきました。しかしまだまだ認知度は低いです。このブログでも取り上げてみたいと思います。

西村元一先生の体験談より

消化器外科医がある日突然、進行胃がんと診断され、自身の治療体験をもとに医療者の考えと患者体験とのずれについて積極的情報発信されていました。抗がん剤治療による味覚障害について例をあげると、「味がしなくなるだけだと思っていたのです。ところが、出ないな出ないなと思っていたら、いつの間にか口の中が絶えず甘くなってきた。甘い物がいやになったし、しばらくしたら水を飲んでも甘みを感じるようになってきました。特に困ったのは、口の中で溶けるOD錠の薬です。飲みやすくするために甘みが付いているのですが、不快な甘みが口に広がり、長時間残り続けて飲みにくくて仕方ない。手術後に使った別の抗がん剤は、味覚全般が下がったので、大好きでいろいろな種類を飲んでいたお茶さえもまずく感じるようになりました。頭でイメージする味と実際の味わいが違うとまずく感じてしまうのです」 医師として患者に接していた時は、味覚障害が出た時に、「これは時間が過ぎれば治るから」とか「味を濃くして食べるしかないね」などとアドバイスをしていた。でも、今、自身で体験して、その言い方は不十分だったと思う。」と言葉を残されています。

薬剤師
薬剤師

患者がどのような副作用を感じているのか聞き出すコミュニケーションが重要だとおっしゃっておられました。

西村先生はお亡くなりになりましたが、先生が残された体験談やメッセージはしっかりと受け継がれていると感じています。我々も先生が言われていたことを胸に患者さんとしっかり向き合っていきたいと思います。

実際にがん治療を経験された方の言葉は、重みがあって非常に大切なことを我々に伝えてくれます。実際の患者さんと接するときに、患者さん言葉に耳を傾けて、思いを聴くところから取り組んでいきましょう。ご紹介した体験談も非常に参考になるかと思いますので、ご参照いただけると幸いです。

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