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ロンサーフ®(トリフルリジン/チピラシル)の服薬指導ポイント

作用機序

ロンサーフの作用機序については、過去の記事をご参照下さい。

用法・用量、休薬期間をしっかり理解することが大切

服薬指導はメーカー提供のパンフレットを用いて行います。大切なのは、1回に服用する量と用法です。用法が独特です。5日間服用して、2日休み、また5日間服用して、2日間休み、さらに14日間休んで①サイクルです。この途中の2日間休薬が重要です。外来で開始する場合、①サイクル目は副作用の出方をよく確認するために、1週間ずつ来院し、採血します。最初のうちは5日間分しか処方されませんが、②サイクル目以降は、まとめて10日分として処方されるため、飲み間違えないよう十分な指導が必要です。上の図のような服薬管理を補助する収納ケースも活用可能です。あと空腹時に本剤を投与した場合、食後投与と比較してトリフルリジン(FTD)のCmaxの上昇が認められることから、空腹時に服用しないよう指導しましょう。



主な副作用の種類と発現時期について

データとして、発現の早いものからいうと悪心になります。数字は発現時期の中央値を示し、(  )内はその範囲を示しています。つづいて嘔吐、下痢、疲労になりますが。患者さんよっては、もちろん前後します。そして血小板減少、Hb減少、好中球減少が発現します。患者さんには特に好中球減少と、悪心・嘔吐について注意を促し、うまく乗り切りましょうと指導します。食欲減退が発現したときの対処として、あらかじめドンペリドンOD錠を処方してもらっております。このようにロンサーフの副作用の特徴としては、非血液毒性は前半に、血液毒性は後半に発現しやすい傾向にあります。

腎機能低下時、肝機能低下時の場合

ロンサーフには、投与開始基準として、腎機能、肝機能値に上記のような基準はありますが、その機能に応じた投与量の調節はありません。障害時は慎重投与との記載はあります。残された治療が少ない患者さんにとって、制限は少ないほうがよいですが、どのように対応したらよいでしょうか。

ロンサーフは、トリフルリジンとチピラシルを1:0.5モル比で配合した合剤です。トリフルリジンが抗がん作用を発揮するわけですが、トリフルリジンは肝代謝です。チミジンホスホリラーゼににより、代謝されます。チピラシルは、①②チミジンホスホリラーゼを阻害することで、③トリフルリジンの血中濃度を上昇させ、効果を高めます。

しかしチピラシルは、④腎排泄です。腎機能が低下した場合、チピラシルの排泄が遅延し、⑤血中濃度が上昇し、⑥⑦チミジンホスホリラーゼの阻害が増強され、⑧トリフルリジンの血中濃度が上がります。理論的には、肝機能低下時および腎機能低下時は、副作用の発現に注意が必要と考えられます。


ロンサーフの添付文書には、慎重投与の項目に「腎機能障害のある患者[骨髄抑制等の副作用が強くあらわれるおそれがある。中等度及び重度の肝機能障害のある患者[中等度肝機能障害患者で重度の血中ビリルビン増加が発現したとの報告がある。また、重度肝機能障害患者での使用経験はない。」との記載がありますので、投与開始時の投与量の設定と投与後のモニタリングを十分に行いましょう。

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