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治癒切除不能な進行・再発の胃癌の薬物療法 SOX療法

胃がん

治癒切除不能な進行・再発の胃癌の薬物療法の1stライン治療の選択肢として、シスプラチン+S-1療法があるとご紹介しました。シスプラチン+S-1療法は確固たるエビデンスに基づいた治療法ですが、シスプラチンの副作用(腎障害、悪心・嘔吐など)が問題となったり、大量の補液で腎障害を予防する必要があり、入院での治療が必要な場合が多いため、高齢者や腎機能が低下した患者には、使いづらいという欠点があります。

そこでシスプラチンをオキサリプラチンに置き換えたSOX療法が選択されることが多くなってきています。実際、私の施設ではCDDP+S-1療法を選択する患者さんは、現在ほぼいません。

進行胃癌に対するS-1+オキサリプラチン(SOX)療法とシスプラチン+S-1(CS)療法の第Ⅲ相比較試験であるG-SOX試験についてご紹介します。

切除不能進行・再発胃癌患者における1次治療としての、CS療法(n=342)に対するSOX療法(n=343)の非劣性を検討した第III相試験です。

主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)・全生存期間(OS)において、PFS中央値はSOX群5.5ヵ月、CS群5.4ヵ月(HR=1.004、95%信頼区間:0.840-1.199、P=0.0044)とCS療法に対するSOX療法の非劣性が示されました。OSの中央値はSOX群14.1ヵ月、CS群13.1ヵ月(HR=0.969、95%信頼区間:0.812-1.157)で95%信頼区間の上限は非劣性マージン1.15をわずかに上回り、厳密には統計学的に非劣性が検証されなかったものの、結果よりほぼ同等と考えられています。奏効割合はSOX群55.7%、CS群52.2%、disease control rateはSOX群85.2%、CS群81.8%でした。

Grade 3以上の好中球減少(CS群41.8% vs. SOX群19.5%)、白血球減少(19.4% vs. 4.1%)、貧血(32.5% vs. 15.1%)、発熱性好中球減少症(6.9% vs. 0.9%)、低ナトリウム血症(13.4% vs. 4.4%)の頻度がSOX群で有意に低かったが、Grade 3以上の感覚性末梢神経障害(0% vs. 4.7%)はSOX群で有意に高いという結果でした。また重篤な有害事象はSOX群で有意に少なかったです(37.9% vs. 29.3%)。

患者さん
患者さん

SOX療法は副作用が少ないんですね

薬剤師
薬剤師

SOXの方が副作用が少なめで、外来でも治療ができます。

オキサリプラチンによる末梢神経障害は蓄積性のため、グレード3にならなように

投与量を調整したり、休薬をしたりできるだけ長く使用できるようにします。

病気が進行しなくても、ずっと続けることが難しい治療です。薬剤師としては蓄積性の神経障害とアレルギーの発現に注意をする必要があります。

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