スポンサーリンク

悪心・嘔吐への対応(1)

押さえておきたい基本的知識

抗がん剤による悪心・嘔吐は患者さんが最も心配する副作用のひとつです。以前に服薬指導した患者さんが、ある映画のシーンで主人公が抗がん剤治療を受けて、ものすごくひどい様子だったのが頭に残っていて、とても不安だとおっしゃっていました。確かに5-HT3受容体拮抗薬がなかったころは、かなりひどい思いをされていたと思いますが、今はステロイドの適応が拡大され、NK-1受容体拮抗薬やオランザピンなどの新規薬剤が使用可能となり、精神的な不安に対する対応を含め、ガイドラインに基づいた予防と症状発現時の対応により、患者さんのQOLは改善されるようになりました。とはいえ悪心・嘔吐、食欲不振がなくなったわけではありません。

抗がん剤投与開始前に悪心・嘔吐の発現リスクを評価しましょう

悪心・嘔吐の因子には、治療関連因子と患者関連因子があります。治療関連因子としては、抗がん薬の種類および投与量、放射線照射部位等が関与し、患者関連因子としては、性別(女性)、年齢(若年)、飲酒習慣(無)、喫煙歴(無)、がんの病態、併存疾患等があります。これらの因子がある場合は、ガイドラインに基づく予防を実施し、その後のモニタリングとフォローアップをしっかりしましょう。

薬剤師
薬剤師

副作用を評価するときは、因果関係を検討する上で、事前の評価は大事なんですね。

悪心、嘔吐を起こす要因は抗がん剤だけではありません

抗がん剤によりCTZが刺激され悪心・嘔吐が発現するわけですが、その他オピオイドでも起こりますし、消化管の運動麻痺、便秘、脳転移によっても起こります。薬剤師であれば、まずは薬を疑うのは自然な行動だと思いますが、薬だけにとらわれていると症状の改善につながらないこともあり注意が必要です。

悪心・嘔吐の要因を考える

このように各項目をチェックし、要因をしぼり、それぞれに対する対応をしてみましょう。

①と⑤については、薬局からの電話サポートでも確認できるかと思います。是非、取り入れてみましょう。

薬剤師
薬剤師

ガイドラインに基づき対応をすることになりますが、悪心・嘔吐への対応が不十分であるとの理由で、抗がん剤の投与量が減量されることがないよう患者さんをサポートしたいと思っています。

悪心・嘔吐への対応(2)もご参照下さい。

(2021年6月4日更新)

コメント

タイトルとURLをコピーしました