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irAE(免疫介在性有害事象)を早期発見・対応するために

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬による有害事象として、irAE(免疫介在性有害事象)があります。免疫チェックポイント阻害薬は、免疫機能を活性化することで抗がん作用を示します。骨髄抑制、悪心・嘔吐、脱毛など従来からある殺細胞性の抗がん剤よりも格段に副作用の発現は低いですが、中には重篤な症状を引き起こす副作用があります。

これらをどうやって早期発見するかについて、私の経験や他施設の方法についてご紹介します。

これまでの記事で何度もお伝えしましたが、抗がん剤治療の前には事前評価が重要です。通常の血液検査の項目に加え、間質性肺炎の有無に関する検査、甲状腺機能、血栓に関連した項目、自己免疫疾患のスクリーニングに関する項目などを実施します。

上の図のように網を貼っておきます。投与前の検査でリスクを評価し、患者さんにirAEの発現の可能性と自覚症状や検査値の異常について説明します。

定期検査1または2でモニタリングするとよい項目を計画し、フォローします。検査の項目は臨床試験の項目に基づいて、各施設ごとのルールを作るとよいかと思います。irAEをひっかける網ですが、目が小さいと意味がありませんし、大きすぎても運用困難かもしれません。私の施設でも実施した結果、これまでの抗がん剤治療では検査しない甲状腺機能や間質性肺炎を示唆する血液検査データや画像データにより早期発見・早期対応につながり、irAEの重症化を防いだ事例があります。是非、チームで免疫チェックポイント阻害薬のirAEモニタリングに取り組んでいただければと思います。

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