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胃癌の術後補助化学療法 S-1単独療法

胃がん

術後補助化学療法(adjuvant chemotherapy)は,治癒切除後の微小遺残腫瘍による再発予防を目的として行われる化学療法です。

ACTS-GC試験(3年経過観察文献)(5年経過観察文献)

S-1単独療法 4週間服用、2週間休薬を繰り返して 1年間継続するレジメンで、治癒手術を受けたStageⅡ(ただし、T1を除く)、ⅢA又はⅢBの胃癌症例を対象として、手術単独に対するS-1を用いた術後補助化学療法の有用性を検証した試験です。

対象

D2胃切除後のT1症例を除く病理学的StageⅡ/Ⅲ(胃癌取扱い規約第13版)の胃癌治癒切除症例

評価症例数

S-1投与群529例、手術単独群530例(無作為割り付け)

評価項目

主要評価項目 :全生存期間

副次評価項目 :無再発生存期間、安全性

結果

全生存期間(主要評価項目)

S-1投与群は手術単独群と比較して死亡リスクを32%低下させ、有意な全生存期間の延長が認められた。(観察期間中央値:割付け後2.9年)

3年経過観察結果(観察期間中央値:割付後2.9年) 

生存期間のHR 0.68 (95%信頼区間(CI):0.52-0.87) p=0.003, 層別log-rank検定
3年生存率 S-1 投与群 80.1% (95% CI:76.1-84.0)、手術単独群 70.1% (95% CI:65.5-74.6)

5年フォローアップ時 

生存期間のHR 0.669 (95% CI:0.540-0.828)
5年生存率 S-1 投与群 71.7% (95% CI:67.8-75.7)、手術単独群 61.1% (95% CI:56.8-65.3)

安全性(副次評価項目)

有害事象の評価症例はS-1投与群517例と、手術単独群526例の1043例であり、S-1投与群においては手術単独群に比較し、白血球減少59.4%、ヘモグロビン減少90.1%、食欲不振61.1%、悪心39.1%、嘔吐22.6%、下痢59.8%などが高頻度に認められた。

治療完遂率

3ヶ月で87.4%、6ヶ月で77.9%、9ヶ月で 70.8%、12ヶ月で65.8%。

12ヶ月間投与完遂した340名のうち42.4%で投与量を減量していた

薬剤師
薬剤師

なるほどS-1を手術後に服用する意義がわかった。

1年間、しっかり治療完遂することが大事なんだね。

完遂するためにどうしたらいいか、考えてみようっと。

副作用への介入ポイント

口内粘膜炎:投与開始2〜3週目発現しやすい。開始前からの口腔ケアの実施と症状発現時は、局所の治療薬として、軟膏ではトリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏、デキサメタゾン口腔用軟膏など、含嗽剤等ではアズレンスルホン酸ナトリウム水和物などを使用する。

色素沈着:投与後2~3週目頃より顔面、爪、手、足などに色素沈着が発現することがある。スキンケアの実施が大切。日光に当たりすぎると悪化するため、日焼け対策を指導する。皮膚や爪の色の変化をカバーするためには、化粧をしたりマニキュアの使用を勧める。

流涙:涙道が閉塞することで流涙が症状とした現れます。不可逆的となることもあるため、症状に気がついたら早期に眼科を受診を促しましょう。

発疹:投与開始直後から2週目での発現が多い。投与を休薬または中止し、対症治療を行う。外用療法として、ステロイド剤、白色ワセリン、ヘパリン類似物質などの塗布を行うとともに、症状に応じて全身療法として、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などの投与を行う。特に発熱を伴う粘膜のただれなどが見られたら、皮膚科へすぐに受診する。

相互作用:S-1とフェニトインまたはワルファリンとの併用によりフェニトインおよびワルファリンの作用が増強されるおそれがあるため、初回投与は特に血中濃度やINRの推移を十分にモニタリングする。

副作用については上記以外のものが発現することもあります。いつもと違う症状に気が付いたらがまんせず申し出ていただくよう指導しましょう。

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