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胃の働きについておさらいしよう

胃がん

胃の運動

胃の運動には推進運動と混和運動の2つがあります。胃内に食物が入って胃壁が親展されると、その刺激で蠕動反射による蠕動運動が誘発されます。伸展刺激の口側に収縮輪を生じ、肛門側が弛緩することによって食物塊や消化液が肛門側に排出されていく運動を、推進運動といいます。

内容物より肛門側に収縮輪がある場合や局所的間欠的収縮がある場合には、内容物が混じり合う混和運動が起こります。

蠕動運動はこの推進と混和のバランスによって成り立っています。

胃の機能

胃が消化管として果たしている機能には貯留、糜粥化びじゅくか、排泄の3つがあります。

貯留:胃に入った食物は同心円状の層を形成しながら胃内に貯留します。胃が伸展するとその刺激が脳幹に伝わり迷走神経を介して胃体部筋層の緊張が減退するため胃壁が外へ膨らみます。完全に弛緩すると0.8から1.5L程度まで食物を貯留することができます。

糜粥化:ほとんどの内容物は前庭部をさかのぼり混和され糜粥化を促進します。その逆流する動きを推進に対して逆移送といいます。胃の蠕動には混和液に加えて幽門ポンプ作用があり、胃内滞留時間のうち20%に50から70mmHgもの圧力がかかることで糜粥化がさらに促進されます。

排出:貯留・糜粥化した胃内容物は、混和液によって前後しながらも徐々に幽門におしやられます。胃内物の排出は蠕動波で起こります(通常範囲内での容量増加では胃の内圧は上がらない)。蠕動波ごとに押し出される食物の量は2~3mL/分程度と少なく、伸展刺激は幽門ポンプ作用を高め、幽門の収縮を抑制します。

分泌 -主細胞、壁細胞、幽門線-

頸部粘液細胞は粘液を、主細胞はペプシノゲンを、壁細胞は塩酸、内因子を、幽門線はガストリンをそれぞれ分泌します。ペプシノゲンは胃酸によりペプシンとなりタンパク分解活性を有します。ペプシノゲン分泌の調節は迷走神経または胃の腸管神経叢から放出されるアセチルコリンによる主細胞の刺激と胃酸の刺激とで行われます。内因子は回腸におけるビタミンB12の吸収に必須であり、慢性胃炎により壁細胞がこわされる病態では内因子欠乏に至り悪性貧血を合併します。内因子のない状態ではビタミンB12の吸収が1/50になります。ガストリンは胃液分泌を制御しており、幽門付近のタンパク質に反応した幽門線のG細胞はガストリンを放出し、そのガストリンは胃体部の腸クロム親和性細胞様細胞(ECL細胞)に作用しヒスタミンを分泌させ、ヒスタミンは胃酸を分泌させます。

胃には分泌相という仕組みがあり、脳相、胃相、腸相の3つに分かれます。脳相は食物を見たり、思い浮かべたり、味わったりすることから起こり、食欲が強いほど刺激が強い。摂食に伴って起こる胃酸分泌の20%を占める。胃相は胃酸分泌を起こし、全分泌の70%を占める。腸相は十二指腸、上部小腸に食物がある状態で少量の胃酸分泌を継続する。小腸内に食物が存在すると、逆行性の小腸-胃反射が誘発されて胃酸分泌を抑え、胃の運動も抑制される。分泌相以外のタイミングでも毎時数mLの胃液が分泌しているが、ほとんどが粘液である。しかし、情動的な刺激があると分泌相以外でも毎時50mLの胃液分泌が起こり消化性潰瘍の発症要因となる。

消化-炭水化物、タンパク質-

炭水化物の消化における胃酸の役割は唾液アミラーゼの不活化です。タンパク質の消化はペプシンが行い、塩酸分泌により至適pHである2.0~3.0を保っている。コラーゲンの分解はペプシンの重要な役割です。

引用文献「薬局2017 vol.68,No.9」

薬剤師
薬剤師

胃のはたらき

ひさしぶりに勉強できました!

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