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治癒切除不能な進行・再発の胃癌の薬物療法 S-1+CDDP療法

胃がん

治癒切除不能な進行・再発の胃癌の1stラインの治療の選択肢として、S-1+CDDP療法があります。

レジメンとしては、S-1 80mg/m2(分2)3週間投与2週間休薬にCDDP 60mg/m2 day 8投与の5週間を1サイクルとして繰り返します。

このレジメンの根拠となった臨床試験は、SPIRITS試験(Koizumi, W. et al: Lancet Oncol.,9(3), 215-221(2008))で非常に有名な臨床試験です。前治療がなく組織学的に腺癌であることが確認された切除不能又は再発胃癌症例を対象として、S-1+CDDP療法とS-1単剤の有用性について比較検証されています。

主要評価項目である全生存期間は、S-1+CDDP療法群はS-1療法群と比較して、死亡リスクを23%低下させ、有意な全生存期間の延長が認められた。(観察期間中央値:34.7ヵ月)全生存期間のハザード比 0.77(95% CI:0.61-0.98)p=0.04(log-rank検定)。

全生存期間中央値は S-1+CDDP療法群 13.0ヵ月S-1療法群 11.0ヵ月だった

副次評価項目である無増悪生存期間は、S-1+CDDP療法群はS-1療法群と比較して増悪リスクを43%低下させ、有意な無増悪生存期間の延長が認められた。(観察期間中央値:34.7ヵ月)無増悪生存期間のHR 0.57(95% CI:0.44-0.73)p<0.0001、log-rank検定無増悪生存期間中央値 S-1+CDDP療法群 6.0ヵ月、S-1療法群 4.0ヵ月だった。

安全性について、S-1+CDDP療法群ではS-1療法群に比較し、白血球減少72.3%、好中球減少75.7%、貧血82.4%、血小板減少52.0%、食欲不振81.8%、悪心71.6%などが高頻度に認められた。

Grade 3以上の有害事象(S-1+CDDP/S-1)は、白血球減少(11%/2%)、好中球減少(40%/11%)、貧血(26%/4%)、血小板減少(5%/0%)、全身倦怠感(30%/6%)、嘔気(11%/1%)、低ナトリウム血症(3%/0%)などであり、S-1+CDDP群で高頻度であった。

患者さん
患者さん

他にも副作用はあるかなあ?点滴をたくさんするっていってたけど。

吐き気はある?

薬剤師
薬剤師

シスプラチン(CDDP)による特徴的な副作用として、腎障害があります。

予防のために輸液を多めにしたり、利尿剤(マンニトール)をシスプラチンの投与前に点滴したり、マグネシウムを投与して腎障害を予防します。

悪心・嘔吐の発現リスクが高いため、ガイドラインに基づいた事前評価と対策をしっかりしましょう。

後はS-1による副作用に対する注意ですね。

S-1による注意すべき副作用

口内粘膜炎:投与開始2〜3週目発現しやすい。開始前からの口腔ケアの実施と症状発現時は、局所の治療薬として、軟膏ではトリアムシノロンアセトニド口腔用軟膏、デキサメタゾン口腔用軟膏など、含嗽剤等ではアズレンスルホン酸ナトリウム水和物などを使用する。

色素沈着:投与後2~3週目頃より顔面、爪、手、足などに色素沈着が発現することがある。スキンケアの実施が大切。日光に当たりすぎると悪化するため、日焼け対策を指導する。皮膚や爪の色の変化をカバーするためには、化粧をしたりマニキュアの使用を勧める。

流涙:涙道が閉塞することで流涙が症状とした現れます。不可逆的となることもあるため、症状に気がついたら早期に眼科を受診を促しましょう。

発疹:投与開始直後から2週目での発現が多い。投与を休薬または中止し、対症治療を行う。外用療法として、ステロイド剤、白色ワセリン、ヘパリン類似物質などの塗布を行うとともに、症状に応じて全身療法として、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などの投与を行う。特に発熱を伴う粘膜のただれなどが見られたら、皮膚科へすぐに受診する。

相互作用:S-1とフェニトインまたはワルファリンとの併用によりフェニトインおよびワルファリンの作用が増強されるおそれがあるため、初回投与は特に血中濃度やINRの推移を十分にモニタリングする。

副作用については上記以外のものが発現することもあります。いつもと違う症状に気が付いたらがまんせず申し出ていただくよう指導しましょう。

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